光の絵の描き方と言うとキラキラとした日光のデジタル表現のことを想像される人もいるかと思います。
自分の場合は、西洋中世の写本絵画(medieval manuscript)からヒントを得て、スピリチュアルな光、聖なる光を表現しております。
Lin Zhangzhi流の光の絵画の描き方をご紹介致します。
この光の絵の題名は「Power Cross」と名付けました。光を帯びて輝く、力強い十字架です。
1.下書き
- 十字架を背にしているのは勿論キリストです。
- キリストの後光(オーラ)を様々な円形で装飾します。
- キリストの周りのおじさん達は4人のエヴァンゲリストです。
2.色付け(後光)
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黄色/オレンジ色系を基に、内から外・外から内へ様々にグラデーションを付けていきます。(左図)
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オーラは赤色系/緑色系をそれぞれ中心に向かってグラデーションを付けていきます。中央部はほぼ白色です。(図中)
- オーラの中の円形を黄色系でグラデーションを付けていきます。上下左右4点の円形は中心から外側に向かうグラデーションで、外側に向かって光が放射するイメージです。(右図)
3.色付け(後光・十字架)
- 上下左右の円の外側にある三角形もグラデーションを付けます。ピラミッドのようなイメージです。(左図)
- 背景の十字架は輝いて見えるように、内側と外側からグラデーションを付けます。(右図)
4.色付け(十字架)
- 十字架の中間部分は根本部分の光とは一転して、黒い部分が多めです。(重量感と遠くから見てもはっきり分かるためです)(左図)
- 十字架の上下左右先端部は再度明るい色で締めます。(右図)
- 十字架中間部と先端部の6つの円形部も明るいグラデーションで塗り、キリストの周りの4つの円形と呼応させます。(右図)
5.色付け(眉・目・口)
- 周りのおじさん達の眉・目・口を塗ります。
- おじさん達の視線は中央のキリストに向けられています。
6.色付け(顔 右下/左上)
- 右下・左上のおじさんの顔を塗ります。
- 顔や額のしわはより気持ち悪く見えるようにデフォルメしています。
- 右下のおじさんは一気に髪の毛とひげまで塗ってしまいましたが、左上のおじさんは顔だけに留めています。
7.色付け(顔 右上/左下)
- 右上と左下のおじさんの顔も塗ります。
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一つの顔の塗り方は、輪郭の濃い色から頬の薄い色に向かっていくグラデーションです。ガッシュ絵具は乾燥が早く、かつアナログのグラデーション技法はいつも正確に同じ色を再現することができないため中断ができないのです。いったん塗り始めると1時間くらいは画面と向き合います。
8.色付け(キリストの顔)
- 中央のキリストの顔を塗ります。ここではいたって普通の色です。
9.色付け(キリストの目と口)
- キリストの目と口を塗ります。
- キリストの目は光り輝き、超越した力を示しています。
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10.色付け(ひげ)
- おじさん達のひげを塗ります。(左図)
- キリストのひげを塗ります。(右図)
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もじゃもじゃを表したかったのですが、カラフルなひげになってしまいました。
11.色付け(髪)
- おじさん達の髪の毛を塗ります。(左図)
- キリストの髪の毛を塗ります。(右図)
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ひげと同じく、カラフルな髪になってしまいました。
12.色付け(光の環)
- おじさん達の周りの4つの光の環を黄色系で塗ります。
13.色付け(背景・完成)
- 背景を定番の金色で塗ります。
- 光の絵画の完成です。