色彩とグラデーションについて

グラデーションを使った絵画技法やエクセルを使った色彩理解のお助けなど紹介しています

最後の一枚(Zoroaster)

最後の一枚(Zoloaster)

 

この記事の目次

 こんにちは。管理人のりんです。ご訪問ありがとうございます。

久しぶりに新作が完成しましたのでご紹介します。

題名はZoroaster(ゾロアスター)です。

最後の一枚とは

アルファベットの文字はAから始まり、最後の文字はZで終わります。

私の作品の題名頭文字にはアルファベットを順番に使用することにしており、今回の題名頭文字は最後のZです。そのためアルファベット順の最後の一枚となるわけです。

これで作品制作をやめたというわけではないです。

ただし次回作からは少し趣向を変え、アイウエオ順に題名をつけていこうかなと思っています。

作品データ

作品の詳細データを記載します。

★サイズ

縦602mm×横403㎜×厚み7㎜

何号という規格サイズが一般的に絵のサイズとして知られていますが、この絵は規格サイズを無視して制作しています。

ホームセンターなどで売っているベニヤ板を購入し、自由に自分が描きたいサイズに切り分けてキャンバスとして使用しています。

画材店などでは布製のキャンバスも売っていますが、自分は下書きや色を塗る時に画面がゆらゆらと揺れるのが好きではなく、布製キャンバスは使いません。

自分の好みは、壁に立てかけて描いたとき動いたりズレたりしないような厚みのある平板な板です。

下図はベニヤ板をカットして板画面を作る一例です。

このカット割りの例では、1枚のベニヤ板から合計6枚分の絵の素材を切り出せます。

ホームセンターでベニヤ板を購入したら、そのままホームセンターの加工コーナーに持ち込み、上のカット割り指示図を見せてカットしてもらいます。

カットする鋸刃の厚みが数㎜あるので、この指示図より若干寸法は小さく仕上がりますが、あっという間にきれいに加工してもらえます。

★使用画材

絵の具はガッシュ絵の具(不透明水彩)を使用しています。画材名がよく似ていますがアクリルガッシュ絵の具とは材質が異なります。

絵の具を溶いて使うものは全卵+ダンマルワニス+重合亜麻仁油を調合したものを使用しています。水は使用しません。

西洋中世時代によく使用されたテンペラ絵画の一種です。

下の写真は絵の具を溶く調合剤で、大元は瓶に入れて冷蔵庫で保存します。

卵を使っているので液色は黄色で、とろみがあります。

下の写真は、瓶から目薬の容器に入れ替えたところです。

この容器から一滴づつ出して絵の具に混ぜます。

 

★使用筆

今回「神筆」の面相筆Lサイズを初めて使用しました。

使用感などは二つ前のブログ記事に載せていますが、自分の描画技法に対しては決して使い心地の良いものではありませんでした。

細い線を引いたり、狭い箇所の塗りには向いていますが、自分のように頻繁に混色・攪拌をする技法ではすぐに筆先がパサついて広がってしまい、思った通りに塗るには一苦労しました。

写真の中央、赤囲みで示したものが今回使用した筆です。

★技法

100%グラデーション技法を使用しています。

塗る範囲が広くても狭くてもグラデーションを使います。

広い部分はグラデーションの変化段数を増やしたり、筆の根本まで使って線を太くして対応します。

狭い部分はグラデーションの変化段数を減らしたり、筆の極先端のみを使って線を極細にして対応します。

下の解説は筆づかいによる対応の一例です。

一つ前のブログ記事で言及したグラデーションで作るボス風の炎も、今回の絵の中に有りますので見つけると楽しいかもしれません。

下の写真はグラデーション技法で再現したボス風の炎です。

これとほぼ同じものが今回の絵の中に3か所あります。

 

★製作期間

2021年2月16日~2023年4月15日 2年2か月

延べ日数789日、週換算で112週、月換算で26か月

下書き期間:2021年2月16日~2021年7月19日 5か月

色塗りから完成期間:2021年7月23日~2023年4月15日 20か月

今回は下書きも色塗りも大幅に時間がかかりました。

下書きの途中で中国駐在から日本へ帰国するためその準備もろもろや、色塗り期間中、夏が異常に暑かったり、単身駐在時のように製作時間があまり取れなかったりなどで進捗が良くなかったです。

(余談ですが、下の写真は、駐在していた2021年蘇州新区のとある風景です。

土日は暇なんで朝からレンタサイクルに乗ってよくぶらぶらと散策していました。)

下の写真は下書きが完成した時点で撮影したものです。

ごちゃごちゃといっぱい線を書き込みをしています。

下書きはかなり念入りに行うので、色塗り中に別のアイデアが出てきて構図が崩壊するといったことはありません。

ただし、下書きの線画ではいくらでも描けても、実際の筆では実現が難しい(又はもっと時間がかかる)表現となる箇所は、色塗り時点で判断して省略することもあります。

今作では、下書きで沢山見える小さい円錐のスパイク形状180個あまりを本番の色塗りでは省略しています。

 

スパイク形状あり(下書き) スパイク形状なし(色塗り)

 

私の作品での色塗りは下書きにグラデーションを付けていく作業で、どの色を使ってグラデーションをするかのセットが決まれば、あとはコツコツと単純に下書きにそって同じ作業を繰り返すのみです。

下の画像は一つ前のブログ記事でも掲載したグラデーションを使った色塗りの見本と実際の比較です。

①区画から⑩区画まで順番に色変化をつけて塗っています。

 

   見本              実際

 

下図は作品の一部分を拡大したものです。

全体からでは判別しづらいグラデーションも、拡大すればどんなパーツもグラデーションで塗られていることが見えます。

 

〇おまけ(BGM)

製作期間中にBGMとして聞いていた音楽のバンド名リストです。

下書き中は構想を膨らませるために、色塗り中は単調さを紛らわせたり、新しい混色セットの着想を得るためにこれらのバンドの音楽は用いられました。

・BURNING WITCH・CARCASS ・ELECTRIC WIZARD・ERATH・FIREBIRD

・GOATSNAKE・GODIEGO・GRIEF COLLECTOR・JESU・KHANATE・

KYUSS・MOGWAI・SLAYER・SLEEP・SOLITUDE AETURNUS・

SUNNO)))・UFOMAMMUT

下書き期間中は主にドローンドゥームやポストロックを聴き込み、色塗り中は主にエピックドゥームを聴き込んでいました。

下書き当初はドローンドゥームのような単調なのっぺりした音像をグラデーションで表現できないか考えていましたが、単なる抽象画になりそうで一旦この構想は中止しました。

聴きながら製作した後は、聴いた曲のタブ譜をネットで探し、ギタープロというソフトの演奏に合わせギターとベースを交互に弾いています。

そうすると益々絵に費やす時間が少なくなってしまったというわけです。

 

© 2023 りん

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