この記事の目次
2種類の塗り方
まず「グラデーションの塗り方」には、大きく分けて二つあります。
①一つは水や各種のメディウムを加えていって、元の色を段々と薄めていくやり方。
この場合、画材は透明画材か透明度の高いものが適しています。不透明な画材では水などを加えてもなかなか思い通りになりません。
②もう一つは、元の色に白を少量づつ混ぜていって段々と色を白に近づけていくやり方。
こちらは不透明な画材に適しています。
ガッシュ絵具は不透明画材なので、白を足していく方法を説明します。
基本手順
基本的な流れはこうです。
①パレットで濃い色を作る→②塗る→③パレットで白を足して色を変化させる→④塗る→⑤パレットでさらに白を足して色を変化させる→⑥塗る
この流れを最終的に白になるまで延々と続けていきます。(※根気が要ります)
注意すること
※注意ポイント1:
絵の画面上で混色はしません。
あくまでもパレットの上で白を混ぜて変化させた色を作っておいて、その作った色で塗り絵のように、塗っていない部分を、塗った部分の真隣に、順番に塗っていきます。
※注意ポイント2:
白になるまで(塗り終えるまで)休めません。
ガッシュ絵の具は一度乾燥して固まってしまうと、水やメディウムを加えても柔らかくなりません。そのため、最終の白になるまでは(グラデーションが終わるまで)、パレット上で常に乾燥していく絵の具と闘い、時折筆でかき混ぜたりして、休みなく塗り続けます。
クーラーや暖房を入れると、部屋が乾燥して、パレット上の絵の具の乾きが恐ろしく早まります。絵の具の乾きが早いと、塗っても絵の具が伸びず、かすれてしまいます。
寒かったり暑かったりしても、グラデーション中のエアコンの使用は極力控えます。(どうしても我慢できない場合は、冬場は加湿器で加湿しながら乾燥を遅らせ、エアコンを入れます。)
※注意ポイント3:
失敗しても途中でやり直せません。(一発勝負です)
不幸なことに、グラデーションを失敗してしまう時があります。
それは主に人の顔をグラデーションで塗るときですが、数段階濃い色で幅を広く塗ってしまったときなど、目や鼻や口や顔全体の輪郭がはっきりとしすぎて、隈取りのようになってしまう時です。
このような時、白く変化させていく途中でなんとなく、やってしまったかなと気は付いているのですが、とりあえず塗ってしまい最後にやっぱり後悔してしまいます。
そんな時は、一旦塗った部分が乾いてから、真っ白な色で全部上から塗りつぶしてしまいます。ガッシュ絵の具は不透明なので、失敗したときは上から塗りつぶすことが可能で、塗りつぶした部分が乾いてから、その上にまたグラデーションをいちから始めていきます。
※注意ポイント4:
毎回まったく同じ色を作り出せません。(一度作った色の再現性は低いです。)
原色(絵の具をチューブから出したそのままの色)だけを使って混色しない場合は別ですが、だいたいは原色を2~3色混ぜてから、グラデーションを始めます。
こういったアナログの絵画では、混ぜるそれぞれの分量、加えていく白の分量は、筆先チョンであったり、どっさり使ったり一定ではありません。言うなれば塗る面積や塗るモチーフにあわせて目分量でグラデーションの段階を作っていきます。
そのため1回作り出したグラデーションをそっくりそのままもう一度再現することは難しいのです。
混色に使った色が何色であったかメモに控えておいて、次回同じようにその色を使ってやってみても、やはり目で見てわかるレベルの違いが出ます。
さらに、ガッシュ絵具は塗っている時の濡れ色と乾燥した後の色が全然違います。
濡れ色は光沢や深みがありますが、乾燥した後は光沢は消えマット色になり、深みも出ません。
そのため、前と同じ色を出したいと狙って、前に塗った部分を見ても、前に塗った部分はもう乾燥しており、それに対して実際に塗る時は濡れ色ですので、参考にしても乾くと色差がやはり生じてしまいます。
以上4つの注意ポイントに気を付ければ、ガッシュ絵具で「グラデーションを塗る」ことはさほど難しいことではありません。
次回は、実際の作品をもとに応用編を説明していきたいと思います。