色彩とグラデーションについて

グラデーションを使った絵画技法やエクセルを使った色彩理解のお助けなど紹介しています

「顔」をグラデーションで塗る方法 ~不透明画材~

この記事の目次

 

 前書き

不透明画材ガッシュアクリルガッシュなど)のグラデーションは単にデザイン的な使い方だけではなく、人物画や顔を塗ることにも対応出来ます。グラデーションを使えばある程度の遠近感が出せますので、透明絵の具の重ね塗り技法とはまた違った、独特な風合いの表現ができます。

では顔をグラデーション技法を使って塗るにはどうするのか、それを説明致します。

顔をグラデーションで塗る①

 まずは輪郭から顔中心にかけてどのような順番でグラデーションを作るのかを図示したものをエクセルで作りましたので、ご覧いただきたいと思います。

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このような順番で顔を塗ることをイメージして下さい。すでにこの時点でなんとなく顔(左半分側)をアップにしたように見えませんでしょうか。

顔をグラデーションで塗る②

実際に顔を塗る場合、各グラデーションの幅は下の図のように変化や強弱を付けます。
全て同じ幅で塗ってしまいますと、特に輪郭部が目立ってリアルなうまい絵には見えません。

幅に差をつけることで、よりリアルに見えるようになります。

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最も幅の狭い1~3と、最も幅の広い16とは、数倍の幅の違いがありますが、
どの段階の幅も1本の筆で表現できます。

 筆づかいで幅を変える

どの段階の幅も以下のような筆づかいで対応します。

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顔をグラデーションで塗る③

顔は左半分だけではないので、②で紹介した塗り方で左右上下からそれぞれ同時に塗っていきます。
注意事項も含めて下図に示します。

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簡単に説明するために、上の図では目・鼻・口は省いています。


目・鼻・口がある場合も、同じ色で肌部分を輪郭~ハイライトと塗っていきます。
下はガッシュ絵の具でグラデーションで塗った顔です。(眉・目・口は後から別色で塗ります。)

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上ではすこし太すぎましたが、輪郭の黒系の幅は細ければ細いほど、顔は自然に見えます。

グラデーションの混ぜ方

グラデーションの混色の仕方について、手順をまとめてみました。
顔を塗る場合、濃い色の幅をできるだけ細くして、なおかつ面積の広い部分を塗りますので、急激に白くなることを避ける必要があります。
(急激に白くなっても、そこから前の色には戻せないので、失敗すると白塗りの顔になってしまいます)
そのため、グラデーションの初期段階では、いきなり白は混ぜずに、ほどよく薄めの色を使用してだらだらと緩やかに変化をさせて、最後のハイライトまで間を持たせます。

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まとめ

グラデーションで顔を塗る方法のポイントは、幅に変化を付けるということでした。
より進化しましたらまたご紹介致します。
この他にももっと良い方法等がありましたらぜひ教えて頂きたいと思います。

 

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ガッシュ絵具の「グラデーションの塗り方」について ~応用編~

この記事の目次

前書き

ここではより実践的な、ガッシュ絵具(不透明な絵の具)を使用したグラデーションの塗り方を説明します。その前に、いくつか基本的なことをまとめておきます。

ガッシュ絵の具、アクリル絵の具、アクリルガッシュ絵の具の違い

ガッシュ絵の具に良く似た画材に、アクリル絵の具、アクリルガッシュ絵の具があります。
名前にガッシュが付くか、アクリルが付くか、その両方が付くか3パターンありますが、それぞれ全く別の画材です。
間違って購入しないよう、(透明水彩も含めて)簡単な一覧表を作りましたので、参考にしていただけたらと思います。

水彩絵の具一覧表
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この一覧表の中で、描き味について不透明(マット)としているものは、塗ったときに下地を覆い隠してしまうタイプの絵の具(不透明な絵の具)になります。

このブログで紹介しているテクニックは、(不透明な絵の具)を使用するときのグラデーションの塗り方です。そのため、ガッシュ絵の具だけでなく、ポスターカラーやアクリルガッシュにも十分応用が可能です。(アクリル絵の具は透明絵の具なので、異なる別の方法が適しています。)

ガッシュ絵の具の種類

古くからあるガッシュ絵の具ですが、アクリル系絵の具が主流となった今でも、複数メーカーから製品が出ています。ここでは自分が主に使っているものをご紹介します。ガッシュ絵の具同士であれば、これらは単独で使っても、混ぜて使っても特に問題はないようです。(同じ不透明ガッシュ絵の具とアクリルガッシュ絵の具を混ぜて使えるかどうか、これはまだ試したことがありません。)

1.Turner Design Gouache(ターナーデザインガッシュ
2.Gouache Nickker(ニッカー ガッシュ)2013年~2015年頃の名称
3.Holbein Artists Gouache(ホルベイン アーチストガッシュ
4.Rowney Egg Tempera(ラウニー エッグテンペラ)2000年頃の名称

使い勝手

個人的な感想になりますが、ご紹介しますと、
1.Turner Design Gouache(ターナーデザインガッシュ)は、特にクセがなく扱いやすいです。
11ml入りと25ml入りチューブがあり、25ml入りはよく消費する色を購入しています。
特に良く使う白はネットで25ml入り数本セットで販売されていてお得でした。

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2.Gouache Nickker(ニッカー ガッシュ)は、最近(といっても2015年前後に)使い始めました。これも特にクセもなく扱いやすいです。11mlと量は少ないですが、価格は安かったように記憶しています。2020年4月現在では新製品のシリーズが出ているようです。(写真は2015年に購入したもの)

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3.Holbein Artists Gouache(ホルベイン アーチストガッシュ)は、発色が良いです。色もバリエーションが多いです。難点はなぜかチューブの中で固まりやすいことでしたが、2020年4月現在はチューブが変わっていますので改善されているかもしれません。(写真は2015年に購入したもの)

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4.Rowney Egg Tempera(ラウニー エッグテンペラ)は価格が高かったです。何十年も前に買いましたが、それでも1本1000円でした。透明絵の具のような書き味で、下地がよく透けて、白を混ぜても変化が少なかったため、不透明絵の具のテクニックでは扱い難い印象があります。2020年4月現在では、社名がデーラー・ラウニーに変わっています。(写真は2000年に購入したもの)

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ガッシュ絵の具の寿命

そもそも使用期限があるのかという問題ですが、各メーカーそういった期限は設定されていないようです。
個人的にもチューブの中で固まりさえしなければ、ほぼいつまででも使えるのではと感じています。実際、20年前に買ったチューブでも普通に使えます。
チューブの中で固まるのを防ぐためには、キャップのねじ部分を良く拭いてきれいにしてしっかり締め、乾燥を防ぐために密閉容器に入れることをお勧めします。
クーラーの効いている部屋にそのまま置いておくと、どんどん固まっていきますので、密閉容器に入れたのち、引き出し等に入れておけばさらに安心です。
大切な画材ですので、最後まで固まらずに使い切りたいものです。(固まって使い切れずにカドミウム系の高価な絵の具を途中で捨ててしまったことは何度もあります。)
また、絵の具を購入した際には、チューブ本体に油性ペンで購入日を記入しておくと、古いものと新しいものが一目で分かりますし、大切に使おうという気持ちにもなるかもしれませんね。

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 ガッシュ絵の具でグラデーションを立体的に見せる応用テクニック

ガッシュ絵の具等の不透明絵の具を使って、より立体感やなめらかな奥行きを感じさせるようにするためには、グラデーションの応用テクニックとして次の二つがあります。

その①、必ず黒を混ぜた濃い色から始める。

その②、最後は限りなく白に近づける。

この①と②の差が大きいほど、グラデーションは立体感が増し、自然な奥行きが表現できるようです。

それぞれ詳しく説明していきます。

その①、必ず黒を混ぜた濃い色から始める。

塗ったときに立体の影となる部分になりますので、思いっきり暗い方がよいです。

しかし、一番暗い黒一色だけで他の色を混色しないでいると、白を混ぜていったときにグレーにしか変化しません。これではあまり面白くありません。
そこで、グラデーションの最初の色は黒一色で始めてもいいですが、次の段階では各色系(赤や青や緑などの)一番濃い色を何色か選んで、黒に少し混ぜます。そうすると、白を混ぜていく段階になっても、単純なグレーではなく、赤系や青系や緑系などに派生していく多彩なグラデーションができます。
エクセルで内容を単純化してみました。

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また、薄い色からグラデーションを始めると、あまり立体的に見えません。非常に淡い軽い感じとなります。

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グラデーションは基本濃い色から始めるようにしましょう。

※黒の違い(ジェットブラックとランプブラック)

 単純に黒を混ぜると言いましたが、黒にも成分の違いによりいくつか種類があり、それぞれ効き目が違います。ガッシュ絵の具ではジェットブラックランプブラックと呼ばれるものがあります。その違いを説明するために簡単な一覧表を作ってみました。

黒の違い一覧表

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ジェットブラックの方がランプブラックより効き目が大きいです。少量混ぜるだけで黒くすることができます。
また、絵の具のチューブには大抵、PBK1やN1.5などの英語と数字が記載されています。
それぞれ意味がありますが、黒の中で比較する場合には、数字が小さい方がより黒いと覚えておけば、どちらがより黒いかの判別に役立ちます。

※ジェットブラックが良い

実際にジェットブラックとランプブラックを使用した際の違いを、エクセルで内容を単純化してみました。

 

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同じ黒でもこのような違い、特徴があります。

その②、最後は限りなく白に近づける。

塗ったときに立体のハイライトとなる部分になりますので、限りなく白に近い方がよいです。この色の白さ加減でなめらかで自然な奥行きとなるか、少し粗い表現になるかが決まります。

 

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ただし、チューブから出した白そのままで使ってしまうと、その前に塗った部分と差が付きすぎて、グラデーションの連続性が途切れたように見えてしまいます。
特に白の部分の面積が広い場合は、そこだけ真っ白で、逆にべた塗り感が出てしまいます。

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グラデーションの最後まで、前の色に白を足して混ぜるという作業を続けましょう。

※白の違い(チタニウムホワイトとパーマネントホワイトとジンクホワイト)

単純に白と言いましたが、白も黒と同様に成分の違いによりいくつか種類があり、効果が違います。ガッシュ絵の具ではチタニウムホワイトパーマネントホワイトジンクホワイトと呼ばれるものがあります。その違いを説明するために簡単な一覧表を作ってみました。

白の違い一覧表

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チタニウムホワイト最も効き目が大きいです。少量混ぜるだけで白くすることができます。最も効果が小さいのがジンクホワイトで、その中間がパーマネントホワイトです。
また、絵の具のチューブには大抵、PW6やN9.7などの英語と数字が記載されています。
それぞれ意味がありますが、白の中で比較する場合には、(黒の時とは逆に)数字が大きい方がより白いと覚えておけば、どちらがより白いかの判別に役立ちます。

チタニウムホワイトが良い

実際にチタニウムホワイトとジンクホワイトを使用した際の違いを、エクセルで内容を単純化してみました。

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 同じ白でもこのような違い、特徴があります。

まとめ

 まとめますと、ガッシュ絵の具(不透明絵の具全般)でグラデーションを立体的に見せる応用テクニックは、最初に黒はジェットブラックを混ぜ、白くするにはチタニウムホワイトを使うと良いということでした。

次回はさらに詳しい内容を説明していきます。

 

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ガッシュ絵具の「グラデーションの塗り方」について ~初級編~

この記事の目次

 

2種類の塗り方

まず「グラデーションの塗り方」には、大きく分けて二つあります。

①一つはや各種のメディウムを加えていって、元の色を段々と薄めていくやり方。
この場合、画材は透明画材か透明度の高いものが適しています。不透明な画材では水などを加えてもなかなか思い通りになりません。

②もう一つは、元の色にを少量づつ混ぜていって段々と色を白に近づけていくやり方。
こちらは不透明な画材に適しています。

ガッシュ絵具は不透明画材なので、白を足していく方法を説明します。

基本手順

基本的な流れはこうです。

①パレットで濃い色を作る→②塗る→③パレットで白を足して色を変化させる→④塗る→⑤パレットでさらに白を足して色を変化させる→⑥塗る

この流れを最終的に白になるまで延々と続けていきます。(※根気が要ります)

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注意すること


※注意ポイント1:

絵の画面上で混色はしません。
あくまでもパレットの上で白を混ぜて変化させた色を作っておいて、その作った色で塗り絵のように、塗っていない部分を、塗った部分の真隣に、順番に塗っていきます。

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※注意ポイント2:

白になるまで(塗り終えるまで)休めません
ガッシュ絵の具は一度乾燥して固まってしまうと、水やメディウムを加えても柔らかくなりません。そのため、最終の白になるまでは(グラデーションが終わるまで)、パレット上で常に乾燥していく絵の具と闘い、時折筆でかき混ぜたりして、休みなく塗り続けます。
クーラーや暖房を入れると、部屋が乾燥して、パレット上の絵の具の乾きが恐ろしく早まります。絵の具の乾きが早いと、塗っても絵の具が伸びず、かすれてしまいます。
寒かったり暑かったりしても、グラデーション中のエアコンの使用は極力控えます。(どうしても我慢できない場合は、冬場は加湿器で加湿しながら乾燥を遅らせ、エアコンを入れます。)

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※注意ポイント3:

失敗しても途中でやり直せません。(一発勝負です)
不幸なことに、グラデーションを失敗してしまう時があります。
それは主に人の顔をグラデーションで塗るときですが、数段階濃い色で幅を広く塗ってしまったときなど、目や鼻や口や顔全体の輪郭がはっきりとしすぎて、隈取りのようになってしまう時です。
このような時、白く変化させていく途中でなんとなく、やってしまったかなと気は付いているのですが、とりあえず塗ってしまい最後にやっぱり後悔してしまいます。
そんな時は、一旦塗った部分が乾いてから、真っ白な色で全部上から塗りつぶしてしまいます。ガッシュ絵の具は不透明なので、失敗したときは上から塗りつぶすことが可能で、塗りつぶした部分が乾いてから、その上にまたグラデーションをいちから始めていきます。

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※注意ポイント4:

毎回まったく同じ色を作り出せません。(一度作った色の再現性は低いです。)
原色(絵の具をチューブから出したそのままの色)だけを使って混色しない場合は別ですが、だいたいは原色を2~3色混ぜてから、グラデーションを始めます。
こういったアナログの絵画では、混ぜるそれぞれの分量、加えていく白の分量は、筆先チョンであったり、どっさり使ったり一定ではありません。言うなれば塗る面積や塗るモチーフにあわせて目分量でグラデーションの段階を作っていきます。
そのため1回作り出したグラデーションをそっくりそのままもう一度再現することは難しいのです。
混色に使った色が何色であったかメモに控えておいて、次回同じようにその色を使ってやってみても、やはり目で見てわかるレベルの違いが出ます。
さらに、ガッシュ絵具は塗っている時の濡れ色乾燥した後の色が全然違います。
濡れ色は光沢深みがありますが、乾燥した後は光沢は消えマット色になり、深みも出ません。
そのため、前と同じ色を出したいと狙って、前に塗った部分を見ても、前に塗った部分はもう乾燥しており、それに対して実際に塗る時は濡れ色ですので、参考にしても乾くと色差がやはり生じてしまいます。

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以上4つの注意ポイントに気を付ければ、ガッシュ絵具で「グラデーションを塗る」ことはさほど難しいことではありません。 

次回は、実際の作品をもとに応用編を説明していきたいと思います。

 

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今だから言えるグラデーションを始めた本当の理由

この記事の目次

 

グラデーションはとっても簡単

実は、グラデーションって誰でも簡単に使いこなせて、しかも絵が少しだけうまく見える超便利な技法なんです。

なぜかというと、自分がそうでしたが、小中高とそれまで透明水彩絵の具を使用してきて、そののちアクリル絵の具やガッシュ不透明水彩絵の具)や油絵具に手を出すようになりましたが、透明水彩絵の具とは違って思ったように使いこなせなかった時期がありました。

ポスターカラーでグラデーションと出会った!

幼いころから中学1年くらいまで地元の絵画教室に通っていて、そこでの透明水彩絵の具の使い方は、パレットの上では色を何種類も出さずに基本となる2~3色に絞り、しかもパレットの上ではごてごてと混ぜ合わせることは良くないということで、画用紙の上で水をたっぷり使って色を薄めて、3原色を混ぜたりぼかしたり、白を少し足したり、黒を少し足したりしてぼわーっと画面上で調整するやり方でした。

高校生になっても透明水彩絵の具を常用していましたが、ゴッホピカソやら有名画家のごつごつとした質感の油絵作品を見るにつけ、透明水彩絵の具では物足りないなと思い始めていました。

そんな折に高校の美術の授業で、ポスターカラーなるものを初めて使用しましたが、これは不透明な画材であり、水で薄めても思うようにはいかず、人物の顔を描くという課題に対して、ほとんど原色そのままのカメレオンのような顔に仕上がったのを覚えています。

その課題が終わってから、授業で初めてグラデーションという技法を習いました。
ただ単純に濃い色に白をちょっとづつ混ぜていって段々に色を変化させるという技法です。
ところが、これがポスターカラーにはぴったりの技法で、簡単にしかもうまく描くことができました。これは面白い技法だなと思いました。

アクリル画→オイルバー変遷

それから高校を卒業して美大ではない普通の大学に進学しました。(鉛筆デッサンにはどうしても興味が持てず、美大を受験する気にはならなかったです。昔から興味が持てないものは全く取り組めないということがあって、どうしたものかと思っていましたが、最近になってそれがASDと呼ばれていることに該当するようだと気づきました。)

大学では美術部に入部して周りの先輩の描く、てかてかの油絵に圧倒され、油絵を始めてみようと思いましたが、なかなか絵の具が乾かないのを横目で見て断念し、乾きの早いアクリル絵の具を使うようになりました。

しかし1アクリル絵の具で10枚ほど作品を作ったところで、質感がどうしても油絵に比べて薄っぺらいことが気になりやめてしまいました。グラデーションのことはすっかり忘れており、原色表現が主体でした。

その次に選んだ画材は、当時新画材として発売され始めていた、”オイルバー”という油絵の具を棒状に固めたもので、これはクレヨンのような感覚で直接キャンバスにこすりつけて塗ることができて質感も良く、そこそこ楽しめました。

しかし、結局細かい部分は筆を使って塗っていたのと、色の種類が少なかったのと、良く減る割には値段が高いということで、ほどなくしてオイルバーも使わなくなりました。このときもグラデーションを忘れており、原色表現が主体でした。

油絵(べた塗り)期、写本画との出会い

そこでやはり、油絵をするべきと思い直し、部室に転がっていた油絵の具を拝借して作品を作るようになりました。

下が油絵の具を使って描いた絵です。
混色はほとんどせず、のっぺりとした、べた塗りです。
たまたまこのころ、大学の図書館で西洋中世絵画(写本画)の画集を見つけ、こんなにへたでも惹かれる絵があるんやと非常に驚き感銘を受けました。
写本画は遠近法もめちゃくちゃで人物の大きさも重要人物は最大サイズで、それ以外は10分の1ほどの大きさに描かれていたり、衝撃的ですが面白いと思いました。
そういった写本画の影響下で描いた絵です。ここでもまだ、グラデーションは使っていません。

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テンペラ画(ガッシュ絵の具) を始める

そうこうしているうちに、今度は先輩から油絵でテンペラもできるよと聞いて、テンペラ?ん?と思いながら、辞書で調べてみたら(ネットはまだない時代です)、西洋中世絵画の技法で、フレスコやガッシュ絵具(不透明水彩)を使用して、卵を使うと書いてありました。

そこでさっそく画材屋さんに行って、ホルベインの画材パンフレットを頂いて、そこに書いてある処方で、卵をダンマルワニスとサンシックンドリンシードオイルと混ぜ合わせ、絵の具に添加するメディウムを作りました。

パンフレットには、このメディウム顔料を混ぜ合わせて発色の良い絵の具が出来上がると書いてありましたが、顔料まで自分で用意して絵の具から作るのは、正直考えられなかったので、ちゃんとチューブに入ったガッシュ絵具(不透明水彩を使うことにしました。

ガッシュ絵具の困った特性

不透明水彩という画材は、不透明+水彩 という名が示している通り、塗った後に乾くと非常にマットでのっぺりとした画面になります。塗った直後の艶や光沢 (濡れ色)は非常に奥行きや深みが感じられて、絵がうまく見えますが、乾くとその良さが全くなくなるという困った特性があります。

また、この絵の具はチューブから出して、水で溶かして薄めることもできますが、卵+油+ワニスのメディウムを水の代わりに使えば、発色が良くなり、乾いた後の画面が少しは強固になるようです。

 パンフレットなどには、テンペラ画は油絵と水彩の両方の性質をもつと書いてありましたが、油絵っぽさは自分の技法では見当たりません。それを補うために、作品完成後にダンマルワニスを全面に塗って、テカテカにするといったことを一時期したことがあります。ガッシュ絵具(不透明水彩)は乾くと艶がなくなって、がっかりしてしまうため、このようにダンマルワニスを塗って濡れ色を永久に保つという方法もあります。

写本画の中でグラデーションを再発見!

そんなこんなで試行錯誤しながらガッシュ絵具テンペラを数枚描きましたが、技法自体はべた塗りが中心でしたので、どうにか奥行きが出せないか、うまく見えるようにならないかと悩んでおりました。

そんなおり、また大学の図書館で西洋中世絵画(写本画)の画集を見ていて、はっと気付きました。

写本画で立体的に見えたり、奥行きが感じられたり、少し写実的に見える部分はグラデーションが使われている、と。

頭のなかでピーンとひらめき、これだ、と思いました。

これが自分がグラデーションで絵を描くことを始めるに至ったきっかけです。

ガッシュ絵具でグラデーションを使ってみたら

下がガッシュ絵具(不透明水彩)で初めてグラデーションを使った作品です。
中央3つの山の部分で、グラデーションを使っています。
上のグラデーションなしの作品にくらべて少しだけ奥行きが感じられます。

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その次に描いたのがこの作品です。

さらにグラデーションの使用比率を高め、総グラデーション化を推し進めています。

前よりもさらに少しうまく見えます。(黒の線や金色は油絵の具です。)

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 グラデーションの効用

グラデーションの効用は単純に言うと、奥行きや深みが増すことにあります。

そのため、誰でもべた塗りしていた部分をグラデーションに置き換えれば奥行きを感じさせることができ、その結果、少し絵がうまくなったように見せることができるようになります。

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とても簡単ですが、効果があります。

混色に苦手意識を持っている人にはぜひ、お勧めしたい技法です。

 

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Lin流 光の絵画の描き方

の絵の描き方と言うとキラキラとした日光のデジタル表現のことを想像される人もいるかと思います。

自分の場合は、西洋中世の写本絵画(medieval manuscript)からヒントを得て、スピリチュアルな光、聖なる光を表現しております。

Lin Zhangzhi流の光の絵画の描き方ご紹介致します。

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 この光の絵の題名はPower Cross」と名付けました。光を帯びて輝く、力強い十字架です。

1.下書き

  • 十字架を背にしているのは勿論キリストです。
  • キリストの後光(オーラ)を様々な円形で装飾します。
  • キリストの周りのおじさん達は4人のエヴァンゲリストです。

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  2.色付け(後光)

  • 黄色/オレンジ色系を基に、内から外・外から内へ様々にグラデーションを付けていきます。(左図)

  • オーラは赤色系/緑色系をそれぞれ中心に向かってグラデーションを付けていきます。中央部はほぼ白色です。(図中)

  • オーラの中の円形を黄色系でグラデーションを付けていきます。上下左右4点の円形は中心から外側に向かうグラデーションで、外側に向かって光が放射するイメージです。(右図)
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 3.色付け(後光・十字架)

  • 上下左右の円の外側にある三角形もグラデーションを付けます。ピラミッドのようなイメージです。(左図)
  • 背景の十字架は輝いて見えるように、内側と外側からグラデーションを付けます。(右図)
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 4.色付け(十字架)

  • 十字架の中間部分は根本部分の光とは一転して、黒い部分が多めです。(重量感と遠くから見てもはっきり分かるためです)(左図)
  • 十字架の上下左右先端部は再度明るい色で締めます。(右図)
  • 十字架中間部と先端部の6つの円形部も明るいグラデーションで塗り、キリストの周りの4つの円形と呼応させます。(右図)
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5.色付け(眉・目・口)

  • 周りのおじさん達眉・目・口を塗ります。
  • おじさん達の視線は中央のキリストに向けられています。

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 6.色付け(顔 右下/左上)

  • 右下・左上のおじさんの顔を塗ります。
  • 顔や額のしわはより気持ち悪く見えるようにデフォルメしています。
  • 右下のおじさんは一気に髪の毛とひげまで塗ってしまいましたが、左上のおじさんは顔だけに留めています。
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7.色付け(顔 右上/左下)

  • 右上と左下のおじさんの顔も塗ります。
  •  一つの顔の塗り方は、輪郭の濃い色から頬の薄い色に向かっていくグラデーションです。ガッシュ絵具は乾燥が早く、かつアナログのグラデーション技法はいつも正確に同じ色を再現することができないため中断ができないのです。いったん塗り始めると1時間くらいは画面と向き合います。

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8.色付け(キリストの顔)

  • 中央のキリストの顔を塗ります。ここではいたって普通の色です。

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9.色付け(キリストの目と口)

  • キリストの目と口を塗ります。
  • キリストの目は光り輝き、超越した力を示しています。
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10.色付け(ひげ)

  • おじさん達のひげを塗ります。(左図)
  • キリストのひげを塗ります。(右図)
  • もじゃもじゃを表したかったのですが、カラフルなひげになってしまいました。

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11.色付け(髪)

  • おじさん達の髪の毛を塗ります。(左図)
  • キリストの髪の毛を塗ります。(右図)
  • ひげと同じく、カラフルな髪になってしまいました。

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12.色付け(光の環)

  • おじさん達の周りの4つの光の環を黄色系で塗ります。

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13.色付け(背景・完成)

  • 背景を定番の金色で塗ります。
  • 光の絵画の完成です。

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Lin流 幻想画の描き方

想画にもいろいろあり、人それぞれ描き方があります。

自分の場合は、西洋中世の写本絵画(medieval manuscript)からヒントを得たものが多く、教会や十字架、聖なるもの、邪悪なものを平面的・幾何学的に描いています。

リズムや整合感やパターンを重視して描いており、普段聞いている音楽からの影響もあります。

そんなLin Zhangzhi流の幻想画の描き方ご紹介致します。

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この幻想画の題名はThe) Night で、ある夜の出来事(死について)を幻想風に描いています。大切な人が天に召されていく様が描かれています。暗さと輝きと奇妙な場面が一枚の絵に混在しています。

それではThe) Night の描き方です。

1.下書き

  • 画面の左側にNightの頭文字Nを描きます。Nには牛・鳥・人の頭(自身)がまとわりつき、さらに下から地獄のであぶられます。
  • 画面の上中央に半円の天/神の手/天使/天使に召される人/足を支える人(悪魔の尾付き)を描きます。
  • その下の文字の領域には、渦巻き貝/山羊/マントを着た怪人を描きます。
  • 下半分は教会を描きます。
  • 教会の左側の塔には、ボッシュのような地獄の口/燃やされる月/病魔に苦しむ人物を解放する者を描きます。
  • 生命を表すロウソクの火は下部の真ん中において消えています。
  • 最下部にてこちらを振り返っているのは自分(作者)です。
  • 下部右側は死に立ち会い見送る人です。

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 2.色付け①

  • 外側の枠線を塗ります。

  • 枠線は外側から内側にかけてグラデーションをつけます。

  • 天使の羽は外界から侵入してきたことを表すために、枠をはみ出しています。f:id:Linzhangzhi:20190501185304j:plain

 3.色付け②

  • 塔/地獄の口を塗ります。
  • 月は地獄の炎で火だるまになっています。
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 4.色付け③

  • 地獄の門頭文字Nを塗ります。
  • 教会の骨組みを塗ります
  • 塗り方はグラデーションです。

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5.色付け④

  • 教会の窓を塗ります。
  • 文字を塗ります。
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 6.色付け⑤

  • マントの怪人/天使/登場人物を塗ります。
  • マントの怪人の帽子は虹色です。
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7.色付け⑥

  • 神の手を塗ります。
  •  神の手はから出ています。

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8.色付け⑦

  • 頭文字Nにへばりつくを塗ります。
  • 最下部のこちらを振り向く人物を塗ります。
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9.色付け⑧

  • 諸々の人物を塗ります。
  • 病人を解放する人を塗ります。
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10.色付け⑨

  • 背景を炎で塗ります。
  • 天に召される人の言葉ラテン語で入れます。
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11.色付け⑩

  • 背景をで埋め尽くして完成です。
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Lin流 抽象画の描き方①

象画にもいろいろあって、人それぞれ描き方があります。

自分の場合は、西洋中世の写本絵画(medieval manuscript)からヒントを得たものが多く、教会や十字架、聖なるもの、邪悪なものを平面的・幾何学的に描いています。

リズムや整合感やパターンを重視して描いており、普段聞いている音楽からの影響もあります。

そんなLin Zhangzhi流の抽象画の描き方ご紹介致します。

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題名はUr.Sick (UrはYou areの略語)で、直訳すると”お前は病気だ!”になります。

BLACK SABBATHやOZZY OZBOURNEの歌詞やタイトルに出てきそうな題名ですが、これを描いている間はずっとParadise Lost「ICON」をBGMで聴いていました。ちょっと暗くて危険な香りを感じていただければ幸いです。

それではUr.Sickの描き方です。

1.下書き①

  • 画面の中心点を見つけます。
  • 画面に対角線を引きます。
  • 魔法陣をイメージして画面中央に多角形の図形を書きます。(大正方形を2個、90度位置をずらして配置)カオスの八つの矢のような八角ができます。
  • 四隅は大理石のタイルをイメージして図形を書きます。(小正方形を4個)
  • それぞれの図形には縁取りをして(線を二重にする)、くっきりと目立つようにします。(中世写本の枠線を手本にしています)
  • 魔法陣中の三角地帯にある八つの目は、ホルスの目(フリーメイソンをイメージしました。
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2. 下書き②

  • (左図)魔法陣中央に病原菌をイメージした円を放射状に描いていきます。
  • 四隅の正方形のなかにも病原菌を散りばめます。
  • ホルスの左側には、をイメージした円を描きます。(下書き③で消去)
  • ホルスの右側には、サタンや黒魔術をイメージした角を描きます。
  • (右図)魔法陣にさらに病原菌を敷き詰めます。
  • ホルスの目の右下にも病原菌を一つ描きます。
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3.下書き③

  • 下書き②で描いた月の円を消して、サタンの角に変更します。
  • 魔法陣に病原菌をさらにびっしりと敷き詰めます。
  • 魔法陣の枠線の中にも病原菌を描き込みます。
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 4.色付け①

  • 八角枠線を塗ります。

  • 枠線は外側から内側にかけてグラデーションをつけます。

  • 黒色から塗り始めて、次に濃青色を混ぜ、そこから白色を少しづつ混ぜて最後はかなり白に近い青色となります。最終の色は今は目立ちませんが、次に黒色を塗って隣り合った時に境界線が際立って効果が出てきます。

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 5.色付け②

  • 上と同じ色で、内側の枠線を塗ります。
  • 上とは逆に、内側から外側にかけてグラデーションを付けます。
  • 外側の枠線と対比するように、グラデーションを付ける方向を内向けに決めます。
  • 色の配置は意味と規則性を持たせることが特に重要で、往々にして理論を逸脱します。

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 6.色付け③

  • 紫色外枠線を塗ります。
  • 外側から内側にグラデーションを付けます。

  • ここでの色の配置は、魔法陣の青とは別の独立した小空間であることを示すため、紫色となります。
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7.色付け④

  • 同じく紫系の色で、目のまわりの枠線を塗ります。
  • 外側から内側にかけてグラデーションをつけます。
  • ここの色の配置は、四隅の正方形空間と共鳴するように同系色となります。
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 8.色付け⑤

  • 太枠線の中を塗ります。
  • 外側の太枠線は赤系の色で、外側から内側にかけてグラデーションをつけます。(黒色から塗り始めるので、①で塗った最終の青白が隣り合って、くっきりと境界線が際立ちます。)
  • 内側の太枠線は赤茶系の色で、内側から外側にかけてグラデーションをつけます。(ここも黒色から塗り始めるので、②で塗った最終の青白が隣り合って、くっきりと境界線が際立ちます。)
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9.色付け⑥

  • 目を塗ります。
  • 眼球の黒目部分は、青系の色で中心に向かってグラデーションをつけます。
  • 眼球の白目部分は、紫系の色で両側と中心からグラデーションをつけます。

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10.色付け⑦

  • 八つの目の周りを塗ります。
  • 外側から内側にかけて、黄色系のグラデーションを付けます。
  • 外側は黒色から塗り始めるので、④で塗った最終の紫白が隣り合って、くっきりと境界線が際立ちます。

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11.色付け⑧

  • 魔法陣の中央4隅の正方形の中央にある円(病原菌)の色を塗ります。
  • 円の外側から中央に向かって濃紺色のグラデーションを付けます。(グラデーションの効果で下書きでの平面的な円形は、手前に盛り上がった球形に変化します。)

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12.色付け⑨

  • 魔法陣正方形のの中の円形をさらに塗り進めます。
  • グラデーションはすべて円の外側から中心に向けて付けます。
  • は左右対称、対角線、一つ飛ばしなど、配置する位置規則性を持たせます。(ランダムに色を配置すると神秘性が失われると信じています。)

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13.色付け⑩

  • さらに円形を塗り進めていきます。
  • この時も色の配置には、規則性を持たせます。
  • 配置の規則性によって、球形の病原菌は、分子配列のような美しさを持ちます。

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14.色付け⑪

  • さらに円形を塗り進めていきます。
  • 円は大きくても小さくても、外側から内側へのグラデーションを堅持します。
  • 色のバリエーションが尽きてきそうになりますが、何とか今まで使っていない色を探し出して塗り進めます。

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15.色付け⑫

  • さらに円形を塗り進めていきます。
  • 円と円の隙間部分も根気よく球形グラデーションで埋めていきます。
  • 隙間が究極に狭くなってくると塗らなくても下地の色(クリーム色)が徐々に輝いてきます。

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16.色付け⑬

  • 魔法陣と四隅の正方形の中には、まだまだ塗っていない隙間部分がありますので、根気よく塗り進めます。
  • 塗る球形は究極に小さくなってきますが、外側から中心へのグラデーションは堅持します。
  • 小さい球形はおのずと白い部分が目立ち、発光するように見えます。

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17.色付け⑭

  • 魔法陣と四正方形の中を完全に球形(病原菌)でびっしりと埋め尽くします。
  • 隙間も全て極小球形で埋め尽くしたことで、白く輝き小宇宙のようです。
  • 目を凝らしてずっと見ていると、奥から手前にふつふつと湧き上がってくる視覚効果があります。

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18.色付け⑮

  • 魔法陣の中から枠線の中と球形を塗り進めます。
  • ここでも色の配置には規則性を持たせます。

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19.色付け⑯

  • 魔法陣の枠線の中は緑系の球形で塗ります。
  • 魔法陣と四正方形の間の空間は、赤系で塗ります。毒された血液を表しています。
  • この赤系のグラデーションは、できるだけディープ色ミドル色の比率を多くして、ぎりぎりまで白化を抑えています。そのため毒々しさがあります。

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20.色付け⑰

  • さらに毒球を塗り進めます。
  • 色は赤系を堅持しながらも、オレンジ色寄りピンク寄りなど少しづつバリエーションを持たせます。
  • 球形は大きくても小さくてもすべて中心に向かってのグラデーションです。

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21.色付け⑱

  • 隙間を小型の球形で埋めていきます。
  • 大中小の球形は全て赤系の色です。

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22.色付け⑲

  • 赤毒球で隙間を埋め尽くす前に、サタンの角を塗ります。
  • 角のねじれている部分は緑青系の色を塗ります。異常さを表しています。
  • だんだんとだらけになってきて、完成が待ち遠しいです。

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23.色付け⑳ 完成

  • サタンの角周りの空間を完全に極小球で埋め尽くします。
  • 極小で白味を帯びて点描のようにも見えますが、下図のように拡大してみると全て中心に向かう赤系のグラデーションです。

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  • 以上でLIn zhangzhi流 抽象画の完成です。

  

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