色彩とグラデーションについて

グラデーションを使った絵画技法やエクセルを使った色彩理解のお助けなど紹介しています

色をあやつる④.文字色と背景色 

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こんにちは。管理人のりんです。ご訪問ありがとうございます。

見やすい文字と背景色の組み合わせでお悩みではありませんか。

例えば、仕事でポカミスが起きないように文字と背景色を分けて識別表示をする場合などがありますよね。

今回は仕事などで日ごろから使っておられるであろうエクセルを使った文字色と背景色の調整についての解説です。

この記事の目次

 

実例より 

中国のある工場で品質管理の仕事をしていますが、先月お客様の定期監査を受けた際に識別表示について以下のような指摘事項がありました。

倉庫で材料(プラスチック製品を作るペレット粒:一袋25㎏)を入荷した後、入荷した年・月が分かるようにを棚の表示を色分け表示しているが、色調が似ていて紛らわしい。一目で見て判別できるように色分けを工夫すること。

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下が実際に指摘された識別の見本ですが、確かに1段目と3段目などほとんど差がないですね。色あせしたらほぼ同じ色になってしまいます。一目で区別はつかないです。

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材料の入出庫は倉庫が担当なので、倉庫のある課が表示の改善を行いました。
下が改善後の識別表示です。

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最初に比べればだいぶ良くなっていますね。

これでお客様に提出しましたが、結果はNGでした。(まだ分かりにくい

上の2段(赤と紫が似ている)下の2段(青と緑が似ている)ということです。

どうする

じゃあどうする

ということで皆で会議を開いたところ、背景に色を付けたり、文字の色を抜いたり工夫したら良いのではということで、また倉庫の課に改善の指令がでました。

そこで出来たのが下の識別表示です。

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お客様に提出する前に、りんさん見て下さいとメールで送ってきたのがこれですが、うーん(なんやこれ)ということで手直しすることに決めました。

かなり落ち着きがない奇抜な色使いになっていました。

これほど不調和な色はそうそう出来るものではないです。

こうしたら

そこで、エクセルのデータをこちらで手直しをしたのが下の画像です。

この配色にするまでの方法を解説します。

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枠線の調整

まず元のデータの枠線に注目しました。

文字と背景色を削除して枠線だけにすると、様々な色が使われていました。

また、枠線は輪郭となる線ですが、明度の高い黄色や緑が使われることで輪郭がぼやけていました。

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そこで、枠線は明度の一番低い黒一色に変更します。

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枠線を黒にすることで、表示全体がぐっと引き締まりました。

 エクセルでは、

1.直したい枠線のセルをクリックして選ぶ

2.ショートカットキー{CTRL+1}でセルの書式設定を開く

3.罫線というタブを表示する

4.線のスタイルを決める(点線や実線など選べる)

5.線の色を決める(黒色を選びます)

6.枠線をクリックして枠線に色を付ける

7.OKを押して変更完了

という操作になります。

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背景色の調整

次に背景色の調整です。

まず文字を削除して、外枠と背景色だけにして観察します。

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すると、3つの背景色が近似した色相であることが分かります。

どれくらい色相が近いかは、次の色相環図と比較するとはっきりします。

色相環上で大体1と2の周辺です。

また、真黒は色相環の範囲にないので、異質な感覚を与えます。

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そこで、色相環の中ででなるべく位置が離れた4つの色を新しい背景色のターゲットにします。

暖色と寒色を含み、それぞれ色相が離れた色を選びます。

手っ取り早いのは、赤・青・黄・緑といった代表的な原色です。

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エクセルでは以下の操作をします。

2021年1月の段の色を色相環3の色に変更するために、まず色相環3の色番号を調べます。

1.色相環3のところにカーソルを合わる

2.ショートカット{ALT+H+H+M}を押して、色の設定画面を出す

3.ユーザー設定タブに切替える

4.一番下のHEXという欄に書かれた数字「#FFF90B」をコピーする。

#FFF90Bが色相環3の色番号です。

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調べた色番号を以下の手順で貼り付けます。

1.2021年1月の段の背景色のセルを選択

2.ショートカット{ALT+H+H+M}を押して、色の設定画面を出す

3.ユーザー設定タブに切替える

4.HEXという欄に先ほどコピーした色番号を貼り付け

5.OKを押して変更を完了

 

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上記の操作で2021年1月の段の背景色が色相環3の色に変わります。

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残り下3段も同じ手順で背景色を変更します。

色相環で調べた色番号をコピーして貼付けるだけです。

(2段目の赤はたまたま色相環1と同じ色なので変更なし)

信号機のような単純な色になりましたが、目的が識別なので単純なほど良いです。

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変更前と後の背景色を比較したものが下図です。

背景色が4段とも離れた色相になって容易に区別が出来ます。

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ちなみに色相環も以下の手順でエクセルで自作しています。

linzhangzhi.hatenablog.com

 

文字色の調整

次に文字色を調整します。

文字色は最初は外枠と同じ色に設定します。

色の組み合わせは色数が増えるほど難しいです。

そのため、外枠色(文字色)1色+背景色1色で合計2色で一旦考えます。

4段目の文字が外枠の黒以外で表示されているので、まず一旦黒に変更します。

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4段目の文字色を黒に変更すると、4段目はだいぶ見やすくなります。

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次に3段目を見てみましょう。

背景色(青)の時、黒色の文字はあまり引き立っていないようです。

このような場合、文字色の明度を極端に上げてみて(白くする)、背景色とのコントラストを付けてみます。

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文字色が黒の時に比べてだいぶ印象が変わりました。

すっきりした印象です。

背景色の明るさの調整

最後に背景色の明るさの調整をします。

4つの色のなかで、3段目と4段目を見ると目がチカチカします。

4つの背景色を調べてみるとともに、彩度(鮮やかさ)が最大値でした。

また、明るさも中央値より高めの設定でした。(明るめ)

この場合の調整は、少しの調整で変化が出やすい明るさに注目し、明るさを今より少し下げて目がチカチカするのを緩和することにしました。

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エクセルでは、

1.直したい背景のセルをクリックして選ぶ

2.ショートカットキー{{ALT+H+H+M}で色の設定を開く

3.ユーザー設定というタブを表示する

4.カラーモデルを HSL に変更する(重要

5.明るさの数値を下げる

6.OKを押して変更完了

という操作になります。

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下図は明るさ変更前と変更後です。

変更前に比べて落ち着いた色になります。

背景青の白い文字も、より明瞭になります。

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これで完成です。

完成したものを手直しする前と比べてみると、以下のようになりました。

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識別のための4つの色が離れており、文字も見やすくなりました。

 

 

~終わり~

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色をあやつる③.明度(明るさ)のグラデーション 

この記事の目次

 

色彩理論

色をあやつるには、色彩理論を知っておくと役に立つことが多々あります。

今回は以前作成した色相環を用いて明度の調整(グラデーション)についてご紹介致します。

色相環の作り方は以前記事をご参照下さい。👇)

 

linzhangzhi.hatenablog.com

 明度とは

明度(めいど)とは、色彩の明るさ度合いを数値で表したものです。

この数値は高いほど白っぽくなり、低いほど黒っぽくなります。

例えばエクセルの色設定では、カラーモデル HSLモードにおいて、明度は明るさと表記されており、0から255までの数値が付けられています。

最高値255は真っ白で、最低値0では真っ黒になります。

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12色相環をもとに明度を調整する(エクセルを使用)

① 以前エクセルで作成した色相環のファイルを開きます。

*windows10、excel バージョン 2016を使用。

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この色相環は1~12までの間で彩度と明度に差が出ないように、一定の数値で固定されています。 

② この色相環を使って、色相1の上の行に明るさの目標設定値を入力します。

 現在値が133で最大値が255です。

 133から255までの間、今回は10づつ右側に順番に明るさの数値を上げていき、計13段階の明るさの連続体(明度のグラデーション)を作成します。

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③ 次に、色相1の右横のセルに色相1をそのまま12個コピーして貼付けします。

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④コピーして作った2個目の色相1のセルのところで、色の設定画面を出し、
カラーモデルの設定をHSLにします。(←重要)
色の設定画面は、{Alt}-{H}-{H}-{M}のショートカットで呼び出すのが便利です。

色の設定画面で、明るさの数値を143に変更し、OKを押します。

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⑤ 以下同じようにセル1個づつ、明るさの設定値を目標設定値に変更していきます。

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⑥明るさを最大値255まで変更すると以下のようなグラデーションができます。

 これが明度のグラデーションです。

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⑦異なる色相でも同じ手順で明るさを順番に変更してグラデーションにします。

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⑧明るさを最大値255まで変更すると以下のようなグラデーションとなります。

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⑨色相3から7までも同じ手順で変化させると以下のようになります。

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明るさをもっと暗い側に変化するには

①色相1の現在値133から左に10ずつ数値を下げて、明るさを変化させます。

 まず、目標となる数値を色相1の上に表示します。(133から3まで14段階)

 次に現在値133の色相1をコピーして左側に14個貼付けます。

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 ②明るさの目標値を入力して順番に変化させます。

  数値が小さくなるほど明るさは暗く変化します。

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③明るさを最小値0まで下げるとほぼ真っ黒になり、暗い方のグラデーションが完成します。

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④色相2~7も同じように、まず現在値をコピーして左側に貼付け、順番に暗く変化させます。

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⑤色相1~7までの明度のグラデーション完成です。

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 明度のグラデーション応用

明度のグラデーションは明るさの範囲によって大きく三つに分けられます。

①暗い方は立体感が付きやすい

 黒枠で示した範囲はその他の範囲に比べて立体感が付きやすいので、立体感を付けたい時にはこの範囲を使うようにします。

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②中間部はだるだる

 明るさの中間部は変化がとぼしく、ダレた印象があります。

 ほのぼのとした表現時に使用できます。

 

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③明るい方は華やか

 この範囲は軽く華やかな印象を付けたいときに使用できます。

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グラデーションの幅に強弱を付けると表現の幅が広がります。

④暗い部分を思いっきり広げ、中間部・明るい部分を狭めると光って見えるようになります。

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⑤暗い部分・明るい部分を狭めると、中間部分が手前に見えるようになります。

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明度のグラデーションは色の明るさを変えるだけなので単純ですが、見栄えは良くなる表現の一つと思います。

 以上、明るさの調節および明度のグラデーションの作成についてご紹介しました。

 

~終わり~

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今年の一枚(2020年)Yob

色々あった2020年も残り僅かとなりました。

グラデーション技法を使用した絵が出来ましたので、今年の1枚ということで紹介します。

(なんとか年内に間にあった。(-_-;)

今回は色彩理論は抜きで、見たまま楽しんでいただければ結構かと。

画材はもちろんガッシュ絵の具+卵メディウムです。

 

一応データ的なものをまとめると

①下書き期間 2020年2月16日~2020年5月24日

 約3か月半(実際稼働日数は25日で、稼働時間は平均3時間/日)

②色塗り期間 2020年5月30日~2020年12月21日

 約7か月(実際稼働日数は52日で、稼働時間は平均3時間/日) 

③題名 Yob(よぶ)

 ヨブ記のよぶさん、jobとも書く。

 題名の頭文字はアルファベット順にしており、今回の頭文字Yは25番目の文字。

④元ネタ 言わずと知れたSLAYER(バンド)ロゴの剣・OBITUARY(バンド)ロゴの鎌

 手斧・剃刀・矢じりなど各種武器系。

⑤技法 オーソドックスなグラデーション。

⑥音 描きながらよく聞いていた音

 SLAYER、DEATH、MOGWAI、EARTH、SUNN O)))などのバンドの音色・音像

⑦詳細解説 

YOBは聖書ヨブ記のヨブをイメージしています。理不尽の中を耐え抜き信仰を全うした人物です。理不尽とは画中の突き刺された剣、ギロチン、剃刀の刃、バトルアクス、無数の矢じり、大鎌に象徴されています。信仰の強さは中央の十字架、ダイヤモンド型の玉座、9個の大円、4個の小円に象徴されています。

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色をあやつる②.彩度(さいど)のグラデーション 

この記事の目次

 

色彩理論

色をあやつるには、色彩理論を知っておくと役に立つことが多々あります。

今回は前回作成した色相環を用いて彩度の調整(グラデーション)についてご紹介致します。

(↓↓色相環の作り方は前回記事をご参照下さい。)

 

linzhangzhi.hatenablog.com

 彩度とは

彩度(さいど)とは、色彩の鮮やかさ(あざやかさ)度合いを数値で表したものです。

この数値が高いほど生き生きとした新鮮な色彩になり、低いほどグレーに近く、色あせた色彩になります。

例えばエクセルの色設定では、カラーモデル HSLモードにおいて、彩度は鮮やかさと表記されており、0から255までの数値が付けられています。

最高値255が最もあざやかで、最低値0がもっとも色あせたものになります。

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12色相環をもとに彩度を調整する(エクセルを使用)

① 前回エクセルで作成した色相環のファイル(鮮やか版)を開きます。

*windows10、excel バージョン 2016を使用。

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この鮮やか版の色相環図は、1~12に分けたそれぞれの色相で、鮮やかさを最も高く設定しています。(鮮やかさ最高設定値255)

 

② この色相環を使って、色相1の上の行に鮮やかさの設定値を入力します。

 最大が255で最小が0です。

 中間部分は24または21づつ右側に下げていき、計13段階の鮮やかさの連続体(彩度のグラデーション)を作成することを目指します。

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③ 次に、色相1の右横のセルに色相1をそのままコピーします。

コピーして作った2個目の色相1のセルのところで、色の設定画面を出し、
カラーモデルの設定をHSLにします。(←重要)
色の設定画面は、{Alt}-{H}-{H}-{M}のショートカットで呼び出すのが便利です。

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④ 色の設定画面で、鮮やかさの数値を231に変更し、OKを押します。
色合いと明るさの数値は変えません。

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鮮やかさが231に減った色相1ができます。↓

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⑤ 同じ手順で今度は鮮やかさを210に変更します。

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鮮やかさが一段と減った色ができます。↓

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⑥同じ手順で鮮やかさを最後の0になるまで順番に変化させていきます。

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彩度のグラデーションができました。↑
(鮮やかさ255と鮮やかさ0は完全に別の色に変化していますが、これは彩度の特徴です。)

 色々な色相による彩度のグラデーション

色相2以降も同様に、彩度を順番に下げていくと同じ色相の中でグラデーションが作成できます。

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色相3から7までも同じように彩度を下げて、同じ色相の中でグラデーションを作ります。

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できたグラデーションは幅に強弱をつけると、より奥ゆきや立体感を持たせることができます。

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このようになります。↑

彩度のグラデーションの配色パターン

今度は作ったグラデーションをもとに、簡単な配色パターンを組み合わせてみましょう。

①補色(各色相間の対角の色で、番号では1と7、2と8、3と9、4と10、5と11、

6と12が補色にあたります。)

 1と7の補色を配色するには、下図で黒くした部分の行を非表示にします。

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補色配色のグラデーションです。↓

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補色は対極の色同士ですので、配色するとよく目立ちます。

ただし、彩度があまりにも高いと、互いに隣接する部分が手前に出て見えたり、奥に引っ込んで見えたりと目に不快な印象があります。(上図の彩度255など)

彩度を少し下げると幾分かましになり、チカチカとした印象は薄れます。

②隣接色(12色相環で番号が隣り合う色、1と2、2と3など)

 隣接色1と2の配色をするには、3から下の行を非表示にします。

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 近接色1と2を配色したグラデーションができました。↓

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 同様に、色相3と4、5と6の隣接色も試してみます。↓

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隣接色は色相差が小さく、調和がとりやすいです。特に黄色をベースにもつ色相3と4の組み合わせは秋の枯葉など自然でもよく目にする配色なので落ち着きがあります。

③3色の組み合わせ

隣接する色相の3色を組み合わせると、色相のグラデーションと彩度のグラデーションを両方作ることが出来ます。

(色相1と2と3、色相3と4と5、色相5と6と7など)

 

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隣接3色の色相と彩度のグラデーションはどれも非常に穏やかで美しいです。

覚えておいて絵画表現で使ってみてはどうでしょう。

以上、彩度の調節および彩度のグラデーションの作成についてご紹介しました。

 

~終わり~

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色をあやつる①.色相環(しきそうかん) 

この記事の目次

 

色彩理論

色をあやつるには、色彩理論を知っておくと役に立つことが多々あります。

今回はそのうちの一つ、色相環についてご紹介致します。

色相環とは

色相環(しきそう かん)とは、色彩理論の一つである色相(しきそう)を環(かん、わっか)状にならべて、色相の違いを見た目で分かりやすく理解する仕組みです。

また色相とは、簡単に言えば赤・青・黄・緑など色味を区別することを指すと考えて下さい。色合いとも表現できます。

色相は光の波長の違いによって連続的に赤・青・黄・緑などに変化していくように人間の目には感じられ、それを環状に並べるとぐるぐるとループする構造です。

色相環の利用法

配色のパターンを作るときの参考にします。

色相環を見れば、補色(互いを引き立てる色)・隣り合った色(調和)・暖色系・寒色系といった色の関係性が分かりますので、それを参考にします。

色相環の種類

10色相環、12色相環、24色相環と種類がありますが、環状に連続して変化する色相を何分割するかによって種類が決まります。

12色相環は、連続して変化する色相を12等分に分けたものなのです。

12色相環を作成する(エクセルを使用)

自分で色相環を作ると、色相環とはどういったものか更に理解が深まります。

さっそく挑戦してみましょう。

簡単に作成するために今回はエクセルを使用します。

*windows10、excel バージョン 2016を使用。

数字を入力する

エクセルに1~12まで文字を入力します。
行と列をずらして、図のように1周するように文字を配置します。

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1番目の色を決める

1.1番の色を塗るため、色の設定画面を出します。

色の設定画面は、マウスを使って色設定アイコンをクリックしても出せます。

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しかし何回も同じ作業を繰り返す場合には、キーボードを操作してショートカットで呼び出す方が断然時短になります。

色の設定画面を呼び出すショートカットは{Alt}-{H}-{H}-{M}です。
Altは押し続けなくても、順番に押していくと色設定画面が出てきます。

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 2.色の設定画面を、ユーザー設定に切替えます。

(初期設定時は、標準という、ハチの巣のような画面が出てきます。)

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ユーザー設定画面に切り替わりました。
(こちらは、ゆらゆらとしたオーロラのような画面です。)

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3.カラーモデルをHSLに切替えます。
(初期設定はRGBで、作業のたび毎回切り替える必要があります)

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 カラーモデルをHSLに切り替えると以下のような画面になります。

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HSLとは、色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Lightness)の頭文字を取ったもので色をあやつる際に超重要な指標です。

画面では色合い(U)・鮮やかさ(S)・明るさ(L)と表示されますが同じ意味です。

 *補足1).色合いの操作

エクセルで色合いは0~255まで指定できます。
画面では左端が0で、右端が255になります。

色合いを変える場合は、数字部分を変えたり、画面上の十字ポインタを左右にずらして変更します。

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(上の画像では170が指定されています。色合い170は本来青色ですが、残りの2つの指標で、鮮やかさの数字が0(最低)、明るさは255(最高)になっている影響で、現在の色はほぼ白色に見えます。)

 *補足2).鮮やかさの操作

エクセルで鮮やかさは0~255まで指定できます。
画面では下端が0で、上端が255になります。

鮮やかさを変える場合は、数字部分を変えたり、画面上の十字ポインタを上下にずらして変更します。

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(上の画像では0が指定されています。鮮やかさ0は本来極めてグレーですが、明るさの指標が255(最大)になっている影響で、現在の色はほぼ白色に見えます。)

 *補足3).明るさの操作

エクセルで明るさは0~255まで指定できます。
画面では右側の白黒グラデーション部分で下端が0で、上端が255になります。

明るさを変える場合は、数字部分を変えたり、白黒グラデーション右側の黒三角マークを上下にずらして変更します。

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(上の画像では255が指定されています。明るさの指標は255(最大)にすると、他の2つの指数の数値がどんな値でも、ほぼ真っ白になります。)

明るさはこのように他の2つの指標に比べて強力に色を変えてしまう力を持っています。そのためアナログ絵画においても、特に白や黒を混ぜる時には慎重になります。
(アナログ絵の具のグラデーションで白を混ぜる時も少しづつ慎重に行います。)

*以上のようにエクセルの色設定を操作するなかで、HSLや色相・彩度・明度の関係についてなんとなく理解をすることができます。

4.色合いを0にして、鮮やかさ・明るさを変更する。

4-1.色相環の1番目の色を色合い0から始めるために、色合いを初期設定値の170から0(画面の左端)に変更します。
(色合い0は赤系になりますが、明るさが最大値のため、色は白いままです。)

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4-2.鮮やかさを初期設置値の0からもっと鮮やかになる値へと変更します。
(明るさが最大値のため、ここでは鮮やかさの値を197に変えても色は真っ白のまま変化しませんが。)

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4-3.明るさを初期設定値の255(最大値)から下げ、色が判別できる数値に変更します。

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明るさの数値を130に下げたところ、判別できる色(赤色)に変化しました。

4-4.ここで色設定画面のOKを押して、この色で色相環1番目の色を塗ります。

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2番目の色を塗る。

色相環2番目の色を塗る時は、1番目の色を再利用して、色合いだけを変更します。
(色合いだけをずらしていきます。)

1.計算で、色合いの数値0~255を12分する。
  255÷12=21.25ですが、少数点以下を切り捨てして21とします。

  これで色合いの数値は0→21→42→63→84→105→126→147→168→189→210→231と順番に変えていけばよいことが分かりました。

2.色合い0~255を12分する。(画面上の見た目)

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3.番号1のセルの色をコピーして番号2に貼り付ける。

ショートカットでCTRL+C(コピー)、CTRL+V(貼り付け)という方法があります。

しかし作業の時短をする場合には、単純にF4キーを押すことで直前の操作(色設定)を繰り返すことができます。

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4.番号2の色合い数値を21に変更する。

4-1.色の設定画面を呼び出して、鮮やかさと明るさの数値は固定し(いじらない)、色合いの数値のみを変更します。

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4-2.色の設定画面のOK部分を押して変化させた色を確定します。
(番号2の色が1よりオレンジがかった色になります。)

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3番目以降~12番目まで同じように色合いを変化させる

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体裁を整えて完成

行と列の幅をそろえたり、背景の枠線を消したりすれば、自作12色相環の完成です。

(枠線の消し方は、ファイル→その他→オプション→詳細設定→次のシートで作業するときの表示設定→枠線を表示するのチェックを外す でできます。)

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さらに対角に矢印を追加すると、補色関係が分かります。

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彩度・明度を変化させた12色相環

上で作成した色相環を再利用して、彩度・明度を変化させた色相環を作ることもできます。

 より鮮やかな色相環

先ほどは鮮やかさの数値を179としましたが、この数値をもっと上げればより鮮やかさが増した色相環となります。

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 色合いと、明るさはいじらずに、鮮やかさを最大値255に変更します。
まず番号1から始めます。

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次に2番目以降~12番目まで、すべて鮮やかさをMAXに変更します。
より鮮やかな(目にきつい)色相環になります。

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 より暗い色相環

 全体としてより暗めの色相環を作成するには、明るさの数値を下げます。
130あった明るさを70に変更します。

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まず番号1のみ変更します。
かなり印象が変わります。

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次に2番目以降~12番目まで、すべての明るさの数値を70に変更します。
かなり暗くなります。明るさの数値の変更は全体に与える影響が大きいです。

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3タイプの比較

彩度・明るさの違う3タイプの色相環です。

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まとめ 

このうように実際に操作をすれば、感覚的にも色相・彩度・明度の関係がつかめるようになってきます。

実際の絵の具で作成するのはもっと難しく手間も材料代もかかりますが、PCを使えば数値で操作できるのでより簡単です。

PCを使って色相・彩度・明度がなんとなく理解できるようになると、自在に色をあやつる基礎ができたことになります。

                                     END

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絵を描く時のお役立ちグッズ

この記事の目次

 

 絵描きさんのお役立ちグッズ 

絵を描いていて、もっと描きやすくしたい、使いやすくしたい、無駄なく使いたいと思うことが良くあります。

そんな中から見つけた便利グッズをご紹介致します。

手置き棒

筆で色を塗るときに、手が空中でぶらぶらしている状態ですと、細かい絵を描くときに安定せず手がブレてしまいます。

それを防ぐために手を置く棒を使います。

今までは四角い角材を手置き棒として使っていましたが、棒の先端がすぐにずれてしまって、その度に手が大きくぶれて色が画面の別の場所に付いてしまうのが不満でした。

そこで新たに使い始めたのが、伸縮型の突っ張り棒です。

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このつっぱり棒の利点はズレないように先端が軟質樹脂で覆われています。

横方向には移動しますが、奥行き方向(画面に向かう方向)にはめったなことでズレないので、安心して絵を描くことに集中できます。

1.下のように画面に当たらないよう立てかけてます。

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2.手をのせて色を塗ります。

 (細かい所を塗る場合は、すごく力が入るのでズレない安心感はありがたいです。指先に集中するため、手はガチガチの状態です。)

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3.先端に滑り止めがある/なしの違いをまとめてみました。

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画溶液入れ

 ガッシュ絵の具を溶くために、自分は水ではなく特製の画溶液を使っています。

この画溶液は生卵の黄身+白身とダンマルワニス、サンシックンドリンシードオイルを一定の割合で混ぜて強く攪拌したもので、テンペラ画にも使われているものです。

この画溶液を使う際、以前は油絵用画材の油つぼに入れて使っていました。

油つぼ
アーテック 油壷 NO.12 165006

アーテック 油壷 NO.12 165006

  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 普通に画溶液を使うのであれば、このタイプの油つぼは重宝しますが、生卵入りの画溶液をごく少量を使う場合には、次のようなデメリットがありました。

1.開口部が大きいので、空気に触れる部分が多く、数時間の内に画溶液が腐る。
  生卵を使っていますので、そのまま一晩置いておくと表面にはカビが生えてきます

2.時間の経過とともに、重い成分が下層に、軽い成分が上層に分離してしまう。生卵と油の混合画溶液は完全に溶け合わずに混ざっているだけです。そのためときどきかき混ぜないと、知らず知らずのうちに上層の上澄み液のみを使用することになり、塗ったときのタッチが変わります。でも次の3、の理由から使用中は頻繁に混ぜ合わせることができません。

3.油つぼに直接筆をチョンチョンと入れて使いますが、その度に画溶液が汚れます。(チョン付けした筆についている色が画溶液に混ざるため。)その都度汚れていない部分を選んでチョン付けしますが、グラデーション技法はチョン付けの回数が多いので、やっぱりそのうちに汚れた部分が付いてしまいます。
グラデーションを白くしている時に、黒い汚れの部分が付いてしまうと、グラデーションが一気に濁ってしまって、グラデーションに不快な段差が付きます。

また反対にグラデーションが黒い段階で、白い部分の汚れがつくと、これも不自然なグラデーションになります。

 
そこで次に試したのが、ソースディスペンサーです。

ソースディスペンサー

 実際に使っていたのは百均のキャップ付きのもので、液が出る穴はあらかじめ開いておらず、カットして穴を作るタイプのものでした。(先端でカットすれば、穴の開きさは小さく、根本側でカットすれば穴は大きくなります)

発想としては、ここに画溶液を入れて好きな量だけ適時出して使えば、いつまでも画溶液は濁らずきれいなままで、かつ容器を逆さまにして出すので自動的に攪拌もできるということでした。

実際に使ってみたところ、液が出る穴を大きく開けると画溶液が出すぎ、逆に小さすぎると粘度の高い画溶液が詰まってしまうという残念な結果に終わりました。

また、攪拌するときに強く振るとキャップをしていても微量は漏れて飛び散るといった弱点がありました。

 

そこで次に試したのが、しょうゆ差しです。

しょう油差し

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こちらは ソースディスペンサーよりも少量づつ入り、注ぎ口の大きさも申し分なく、一滴一滴と出す分には使い勝手が良いです。

使い捨てなので、使い切ったらそのまま捨てられる手軽さも有難いです。

百円ショップで買えば数個入っているのでコストパフォーマンスも良いです。

唯一の難点は、キャップと注ぎ口のネジがすぐにいたむので、キャップを何回も開けたり閉めたりを繰り返すと、すぐにキャップから液だれしてしまうことでした。

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(キャップを何回も開け閉めすることを想定した作りにはなっていないと思われます)

 

そして現在、最終的に行き着いた結論は、眼科用点眼薬入れです。

眼科用点眼薬入れ

 自分が実際に使っているのは、眼科で買った点眼液の使い終わったものです。

使い終わった点眼液容器を水できれいに洗い、よく乾燥してから使います。

点眼液容器は、一日何回もキャップを開け閉めしても液漏れしないように作られていますし、ノズル部分も一滴一滴うまく出るような非常に良い作りになっていますので、今までの不満はほぼ解消されました。

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ノズル部分は左右にゆすって取り外しできます。水を満タンに入れて思い切り容器を押し、水圧を利用して取り外すこともできます。

画溶液を点眼用容器に詰め替える

以下の工程で、画溶液を点眼用容器に詰め替えます。

①画用液を保存している瓶をよく振って混ぜ合わせます。

②瓶のふたを開け、しょうゆ差しをスポイト代わりに画溶液を吸い出します。

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③吸いだした画溶液を点眼用容器に入れます。

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画溶液を適量垂らす

パレットに適量を垂らして使います。

グラデーションで色の段階を下げる度に適量加えます。

また、塗っている途中で絵の具の乾燥で塗り伸びが悪くなった時にも、粘度を下げるために適量加えます。

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 筆置き

 グラデーションで色の段階を下げる度に画溶液を追加します。その時、筆を持ったまま画溶液のキャップを開け閉めしたり、画溶液をパレットに垂らすと、思わぬことで手に持っていた筆先が画面に接触して、絵に変な点が付きます。

そこで、筆を一旦どこかに置く必要がありますが、机の上にそのまま置くとコロコロと転がって非常に集中力を削がれます。

また、筆先はどこにも接触させずに置きたいので、下のような筆置きを練り消しを使って作りました。

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目玉クリップ

 目玉クリップは、ペーパーパレットの端がペロンとめくれ上がった時に、面を平らにする目的で使用します。

ペーパーパレットは湿気の影響や、枚数が少なくなってくると、端部分がめくれてきます。

そのままですと、パレットに出した絵の具や画溶液が滑って別の色と合体するなど使い勝手に影響が出ますので、こうやって目玉クリップで端を留めています。

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完全に平らにするには、クリップの数を増やします。

 

絵の具保存ケース

絵の具を乾燥から守るために、密封型ケースを使用しています。

青系・赤系・黄色系など、なるべく色の種類ごとにケースを分けると、目的の色を探し出しやすいです。またすでにある同じ色を間違って新しく買ってしまうミスも防ぐことができます。

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制作途中でよく使う色、コンビネーションで使う色などはチャック付き袋に入れておけば、少し時間を開けて色の再現をする場合に役立ちます。

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以上、お役立ちグッズをご紹介しました。

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絵のテーマ、構図、構想

この記事の目次

 

絵の構想について

絵を描くときにイメージやテーマはどうやって思いつくのか?
構図はどのように決めたらよいのか?という質問をよく見かけます。

イメージやテーマや構図といった、大きな意味で絵の構想を練る際に必要な事柄を今回は説明したいと思います。

下書きをする

何を描きたいかイメージをわかせるために、まずは下書きをすることが必要です。
下書きは別の紙でも良いし、本番用の画面を使用しても良いです。
アナログ絵画の場合、とにかく手を使って何かに描くという行為が重要で、描いているうちに脳が刺激されてイメージが膨らんできます。

下書きをする際は、できるだけリラックスしながらも集中できる環境が望ましいです。
リラックスするためにコーヒーを飲んだり、好きな音楽を聴いたりしながらも、一人で没頭できるスペースがあれば尚良いです。
このような環境があれば、朝・昼・夜 どのような時間帯であれ、すっと下書きに入ることができます。
このような環境が準備できない場合は、できるだけ静かな夜間が下書きに適しています。

下書きからイメージを得る方法

何を描くか決まっていない時、これから絵を描こうとしている時、画面は何も描かれていない状態、つまり真っ白の状態です。

この真っ白の状態は非常に心地が悪く、また何も進みません。

とにかく何か描いて絵を始めたいけれど、何を描いたら良いかわからない。

そんな時にはまず、画面を4分割して、中心を見つけて下さい。

画面を4分割して、中心を見つける。

①画面の縦・横の寸法を測り、それぞれの寸法÷2で真ん中に軽く印をつけます。

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②印をつけた対辺に向かって真っすぐ線を引きます。(線はうすく引きます)

これで画面が4分割されます。

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③縦と横の中心線が交わる部分が画面の中心です。

これで真っ白な画面に道しるべができました。

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描きたいものを配置する(構図)

描きたいもの(人物・鳥・動物・物体・図形など)を、4分割した画面に薄く下書きします。

中心と4分割線がありますので、それを利用して、どれぐらい中心から離すか近づけるか、ざっくりと決めます。

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非常に簡単ですが、これで基本的な構図は完成です。
描きたいものを描いてみて、もう少し右寄りにしたいといった希望があれば、その時は
描いたものを消して、また描きます。
消す際には、4分割線まで完全に消してしまわないように気を付けます。

①描いて→②遠くから全体を眺める→③気に入らない部分を消す→④また描く→⑤また眺める→⑥また消してみる→⑦繰り返し 

この一連のサイクル作業が脳を刺激し、イメージを膨らませるのに役だちます。

描きたいものの大きさを変える 

構図を考える時に、描きたいものの大きさも同時に考えるようにします。
描きたいものを画面いっぱいに大きくしたり、その反対に小さくしたり二つ並べてみたり、逆さに描いてみたりします。

実際に下書きを描いてみて、眺めてイメージとしてどうなるかとらえます。
ここでもいろいろ試してみて、気に入らなければ消してを繰り返します。

一例です。

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画面をさらに分割してみる

4分割した画面にさらに線を足して、様々な構図を作り出すことができます。

1.対角線を追加

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ここに描きたいものを配置

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2.斜め線を追加

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ここに描きたいものを配置

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3.さらに線を追加

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ここに描きたいものを配置

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4.象徴的な線を追加

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ここに描きたいものを配置

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このように画面に線を追加して分割するだけで、さまざまな構図を生み出すことが出来ます。

さまざまな構図に派生していく際にベースとなるのが、最初に描いた4分割線です。

円を描いてみる

分割した画面に、円を加えることで目を引く構図を作り出すことができます。

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円は不思議な図形で、なんの変哲もない画面でも、一つ加えるだけで何か特別な意味が付け加わったような印象を与えることができます。

画面に残った線を活かす

以上のように下書きで描いたり消したり何度も繰り返していくと、どうしても画面には前の線がうっすらと残ります。

このうっすらと残った線がミソで、軌跡が混ざり合って新しい図形が生まれたり、新たなイメージに結び付くきっかけになったりします。

 

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最終的には要らない線はできるだけ薄くなるまで消し、活かしたい線は濃い目に描いて区別します。色付けの際に間違えないようにするためです。

構想を固める

下書きの画面は遠くから眺めたり、画面全体を写真に撮って客観的にどう見えるかを考えます。

特に最近はネット映えを意識して、サムネイルにした時に見栄えが良いか、目を引くかを十分考慮します。

このように下書きを眺める/見る/描いたり消したり/別の形状を連想するなどしながら描きたい絵の構想を徐々に固めていきます。

考えが煮詰まったら

下書きを何時間も眺めたり描いたり消したりしながら構想を練っていくと、どうしても考えが煮詰まってくるときがあります。
もう何も考えられなくて、頭がぼーっとしてきたら、そのまま目をつぶって少し寝て下さい。

再び起きたときには頭がきれいにリセットされ、クリアな視点で再び下書きに向かうことができます。

ポイントは考えが煮詰まるまでとことん画面と向き合うということです。

最後の手段

一旦は出来上がった構図に対して、どうしても気に入らない場合がある場合。でも最初からやり直すのが難しい場合には、後から画面をカット(トリミング)してしまうという方法もあります。

この方法を覚えておくと、構図の取り方の失敗をそれほど気にせず、思い切って絵を進めることができます。

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構図の使い道

描いたり消したりを繰り返して出来上がった構図は、一つの作品だけでなく、別の作品に応用、転用することができます。

せっかく苦労して作った構図ですから、気に入った構図は、モチーフを変えたり、色を変えたり、組み合わせたりしていろいろ使いまわしてみたいものです。

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実際例

 1.最初は落書き程度から下書きを始めます。何を描きたいかを探る状態です。

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2.一旦画面全体に描き込みします。

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3.線を消したり付け加えたりして試します。

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4.うっすらと残った軌跡を活かして別のイメージに繋げます。

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 5.いろいろなイメージを追加して、最後にまとめます。

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 ※下書きは消した線選んだ線がいっぱいです。

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いろいろなキャンバスの形

最後にいろいろなキャンバス(広い意味での画面)の形をご紹介します。

キャンバスには固有のモチーフにあった比率・形状のものがあらかじめ用意してありますので、定形サイズのものを選ぶのも構図を決める際の助けとなります。

また、慣れてきましたら、時には定形外の今まで使ったことがない比率・形状のものを選んでみると、より表現の幅が広がると思います。

 

・長方形(人物)(風景)(海景)

 最も一般的な画面です。描きやすいです。

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・正方形

   真四角なものはデザイン的に安定感があります。シンメトリーな構図が付けやすいです。
 同じ真四角でも、90度傾けるだけで神秘的な形になります。

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・円形、楕円

  真円は少し難しそうですが、宇宙的なモチーフが描けそうです。
  横向き楕円は、広がりのある風景などが描きやすそうです。
  縦向き楕円も、肖像画などに向いてると思います。

 

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・三角形(多面体)・棺形

 こういう図形に絵を描いてみるのも楽しそうです。

 

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・教会型(三角屋根)

  この形はイコンや聖書キリスト教に関連した絵を描くのに適しています。

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祭壇型(3つ折り)

 観音開きにして、3面に絵が描けます。
 両側を閉じて、表面にも絵が描けます。
 大作向けの画面と思います。
 有名なヒエロニムス・ボスの『快楽の園』もこの構造です。

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ドーム型(天井画)

 いつかは天井に描いてみたいですね。
 西洋絵画にいくつか有名なものがあります。

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ふすま型(ふすま絵)

 画面が大きいので、のびのびとした構図を選べます。

 2枚で一組ですが、左右に渡って連続して描いてもきれいです。

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柱型(湾曲)

 柱など湾曲したものに描いてみることも、構図を練る訓練になると思います。

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 このように、色々な画面がありますので、構図に行き詰まったら、今まで描いたことがない画面に挑戦してみても面白いかと思います。

                            

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